池田昌廣「『日本書紀』と六朝の類書」注引文献リスト

2022/1/17、たまたま標記の論文にネット上で遭遇し、自分の関心事のひとつである類書についての論考であるゆえ食い入るように読む。翌日にかけて幾つかのツイート。類書についての貴重な参考文献史料が注引されており、勢いに任せて一覧表を作成した。入手できそうなものがあれば少しづつでも読んでいきたいと思っている。

『日本中國學會報 第五十九集 2007』収載、池田昌廣「『日本書紀』と六朝の類書」に遭遇!

久々に『華林遍略』『修文殿御覧』『文思博要』の文字を見て胸躍る!昼食後じっくりと拝読させていただきます!
午前11:40 · 2022年1月17日

取り急ぎ拝読。久々に〝ズドーン〟と来る学者専門家の論文。p284
「私は、さきに述べた種々の徴証から、『書紀』の潤色に利用された類書には『華林遍略』を擬するのが、現時点で最も穏当な比定と考える。

#池田昌廣 #日本書紀と六朝の類書
午後3:25 · 2022年1月17日

p284
「「気象未効、謂之太易」が『華林遍略』に箇条されていたことは、太安萬侶が『古事記』序文を制作するにあたり『華林遍略』を利用した可能性をみちびく。

としつつ、p290注(41)
「安萬侶が参照したのは『華林遍略』ではなく『辯正論』だったかも知れない。
午後3:27 · 2022年1月17日

p287注(14)
『華林遍略』からの引用を明記するのは、わづかに院政期の記録が一條、『後二條師通記』永長元年(一〇九七)三月七日條の「鷰子馬也。見於華林遍略」が知られるにすぎない。

『華林遍略』は11世紀末まで我が国に存在していた!いでよ!『華林遍略』!
午後3:36 · 2022年1月17日

『太平御覧』は先行する類書を藍本とすると見られていますが、その根源は『華林遍略』である可能性が高そうです。『御覧』に引かれる『魏志』の文が、いずれの時代の『魏志』を写しているのか?『華林遍略』の6世紀前半梁代か、『修文殿御覧』の6世紀後半北斉代か、はたまた『太平御覧』成立の北宋か?
午後3:42 · 2022年1月17日

もちろんこの池田昌廣氏の「『日本書紀』と六朝の類書」に対しても批判反論が出ているのかも知れません。まずはこの池田論文の参考文献中、入手できそうなものについてトライしてみたいと思うところです。

森鹿三「修文殿御覧について」は既に入手読了。
午後3:45 · 2022年1月17日

笠井倭人『研究史 倭の五王』を久しぶりに開いて気がついたこと。p1で裴子野が斐子野になってる(・・;) ご丁寧に「ひしや」というルビまで振って、、、曾祖父が『三国志』付注の裴松之なので、もちろん裴子野が正しい。弘法も筆の誤りの一例。
午後6:25 · 2022年1月17日

百衲本(宋蜀大字本)『梁書』三十 列伝巻二十四 裴子野
午後6:33 · 2022年1月17日

さて、『研究史 倭の五王』を開いたのは、その6-7頁に掲げてある「出典書名分類表」(直接原点に当って利用した場合)を再確認するため。これは小島憲之氏『上代日本文学と中国文学 上』所収で、『書紀』編纂に当たってどのような漢籍から引文してあるかを拾い出したもので「重要極まりない史料」と。
午後6:44 · 2022年1月17日

この小島表と池田論考との突合は如何に?なんて身構えてみたところで、愚生の拙脳に理解できるはずもなく(ー_ー) まずは池田論考関連文献を渉猟することが第一歩と思念する次第にて、、、

知れば知るほど知らないことが増えてくるぅ~
午後6:50 · 2022年1月17日

p288
私は『書紀』撰上時に『史記』は本邦に舶載されていなかったと考えているが、いまだ実証していない。しかし本稿は、『書紀』潤色者が『史記』を物理的に利用できないという仮定を前提に論を組み立てている。

ん?
午前10:32 · 2022年1月18日

『研究史 倭の五王』p6-7の小島表には『史記』が掲げてあり、景行・成務紀と欽明紀に利用されているとします。これは衝突発生!

池田説によれば、この『史記』も類書経由という判断なんでしょう。
午前10:33 · 2022年1月18日

■拙サイト関連頁 「類書について」
■池田昌廣「『日本書紀』と六朝の類書」参考文献■
著者編者 文献論文名 所載文献名 出版社 刊行年
1 池田 温 日本古代史を学ぶための漢文入門 吉川弘文館 2007
2 池田 昌廣 『日本書紀』の潤色に利用された類書について 他誌へ投稿中
3 勝村 哲也 修文殿御覧天部の復元 山田慶兒編『中国の科学と科学者』 京都大学人文科学研究所 1978
3 勝村 哲也 『藝文類聚』の條文構成と六朝目録との関連性について 東方學報六二 1990
4 森 鹿三 修文殿御覧について 本草学研究 武田科学振興財団杏雨書屋 1999/1964初出
4 勝村 哲也 修文殿御覧巻三百香部の復元―森鹿三氏「修文殿御覧について」を手掛りとして 日本仏教学会年報三八 1973
4 勝村 哲也 『修文殿御覧』新考 應陵史学三・四 1977
5 太田 晶二郎 日本漢籍史札記一、日本国見在書目録編纂の精神 太田晶二郎著作集一 吉川弘文館 1991/1955初出
5 小長谷 惠吉 日本国見在書目録解説稿 附同書目録・索引 小宮山書店 1956重印
6 飯田 瑞穂 『秘府略』の錯謬について 附、『秘府略』引用書名等索引 古代史籍の研究 中、飯田瑞穂著作集三 吉川弘文館 2000/1975初出
8 飯田 瑞穂 『秘府略』に関する考察 古代史籍の研究 中、飯田瑞穂著作集三 吉川弘文館 2000/1975初出
8 小島 憲之 類書『秘府略』 国風暗黒時代の文学 中(上) 塙書房 1973
9 渡邊 幸三 太平御覧所引本蔵経の文献学的性格 本草書の研究 財)武田科学振興財団杏雨屋 1987/1955初出
10 赤堀 昭 陶弘景と『集注本草』 山田慶兒編 中国の科学と科学者 京都大学人文科学研究所 1978
15 小島 憲之 上代日本文学と中国文学 上 塙書房 1962
17 曹道衡・沈玉成 中古文学資料叢考 中華書局 2003
17 呉光興 蕭綱蕭繹年譜 社会科学文献出版社 2006
17 石井 仁 梁の元帝集団と荊州政権―「隨府府佐」再論 集刊東洋学五六 1986
20 厳可均 全上古三代秦漢三国六朝文 全梁文 巻五三
22 張敦頤 六朝事迹編類
23 新美寛・編 鈴木隆一・補 本邦残存典籍による楫佚資料集成 続 京都大学人文科学研究所 1968
24 音成 彩 梁元帝『金楼子』について 九州大学東洋史論集三四 2006
26 池田 昌廣 『日本書紀』書名論序説 佛教大学大学院紀要三五 2007
26 池田 昌廣 『日本書紀』は「正史」か 應陵史学三三 2007
31 間島 潤一 鄭玄『尚書注』と『尚書大伝』―周公居摂の解釈をめぐって 東洋史研究六〇-四 2002
33 平 秀道 日本書紀と讖緯思想―大化の改新前後の記載を中心として 國文学論叢七 龍谷大学 1960
34 濱 久雄 『尚書大伝』考 東洋研究一三三 大東文化大学東洋研究所 1999
36 森 博達 日本書紀の謎を解く 述作者は誰か 中央公論新社 中公新書 1999
36 森 博達 日本書紀の成立過程と大化改新 東アジアの古代文化一〇三 2000
36 山尾 幸久 『日本書紀』の国家史の構想―一、二の予備的考察 日本思想史学二八 1996
36 山尾 幸久 大化改新の史料批判 塙書房 2006
36 尾崎 勤 中大兄王子と周公旦―斉明朝の「粛慎」入朝が意図すること 日本漢文学研究二 二松学舎大学 2007
36 神田 喜一郎 日本書紀古訓攷證 神田喜一郎全集二 同朋舎 1983/1949初出
37 尊経閣善本影印集成13 秘府略 八木書店 1997
38 瀬間 正之 古事記序文開闢神話生成論の背景 上智大学国文学科紀要一八 2001
38 砺波 護 隋唐の仏教と国家 中央公論新社 中公文庫 1999
40 瀬間 正之 記紀の文字表現と漢訳仏典 おうふう 1994
40 大内 文雄 梁代仏教類聚書と経律異相 東方宗教五〇 1977
43 南澤 良彦 『帝王世紀』の成立とその意義 日本中国学会報四四 1992
44 山田 英雄 日本書紀即位前記について 日本歴史三六八 1979