『隋書』経籍志二 史 起居注

「漢籍電子文献」隋書経籍志 起居注 晋より

晉泰始 起居注二十卷李軌撰。
晉咸寧 起居注十卷李軌撰。
晉泰康 起居注二十一卷李軌撰。
晉元康 起居注一卷梁有永平、元康、永寧、 起居注六卷,又有惠帝 起居注二卷,永嘉、建興 起居注十三卷,亡。
晉建武、大興、永昌 起居注九卷梁有二十卷。
晉元康 起居注一卷
晉咸和 起居注十六卷李軌撰。
晉咸康 起居注二十二卷
晉建元 起居注四卷
晉永和 起居注十七卷梁有二十四卷。
晉升平 起居注十卷
晉隆和、興寧 起居注五卷
晉咸安 起居注三卷
晉泰和 起居注六卷梁十卷
晉寧康 起居注六卷
晉泰元 起居注二十五卷梁五十四卷。
晉隆安 起居注十卷
晉元興 起居注九卷
晉義熙 起居注十七卷梁三十四卷。
晉元熙 起居注二卷
晉 起居注三百一十七卷宋北徐州主簿劉道會撰。梁有三百二十二卷。

起居注者,錄紀人君言行動止之事。春秋傳曰:「君舉必書,書而不法,後嗣何觀?」周官,内史掌王之命,遂書其副而藏之,是其職也。漢武帝有禁中 起居注,後漢明德馬后撰明帝 起居注,然則漢時起居,似在宮中,為女史之職。然皆零落,不可復知。今之存者,有漢獻帝及晉代已來 起居注,皆近侍之臣所錄。晉時,又得汲冢書,有穆天子傳,體制與今起居正同,蓋周時内史所記王命之副也。近代已來,別有其職,事在百官志,今依其先後,編而次之。其偽國起居,唯南燕一卷,不可別出,附之於此。

〈拙訳 *印は注補あり〉
起居注は,人君(=君主)の言行動止の事を錄紀す。『春秋』は傳へて曰く、「君(=天子)の舉(=行い)は必ず書し,書して法ならざれば,後嗣(=子孫、後継ぎ)や何をか觀(み)む?」。『周官*』に,内史*は王の命を掌(つかさど)り,遂(つひ)に其の副も書して之を藏するは,是(これ)其の職也と。漢の武帝に「禁中起居注」有り,後漢の明德馬后*は「明帝起居注」を撰すも,然則(しからば)漢時の起居は,宮中に在る似(ごと)くして,女史の職と為す。然るに皆零落*し,復(また)知る可からず。今之(これ)の存するは,漢の獻帝及び晉代已來(=以来)の「起居注」有りて,皆、近侍の臣の錄する所なり。晉の時,又『汲冢書*』を得るに,『穆天子傳』有り,體制は今の起居と正(まさ)に同じく,蓋(けだ)し周の時内史の記(しる)す所は王命の副也。近代已來,別に其の職有り,事は「百官志」に在り,今は其の先後に依りて,編して之を次(なら)ぶ。其の偽國*起居,唯(ただ)南燕一卷,別に出す可からずにして,之を此に附す。

〈注補〉

■周官:『周礼』。
■馬皇后(ばこうごう、40年 - 79年8月16日)は、後漢の第2代皇帝明帝の皇后。諡は徳、諡号としては、夫の諡を重ねて明徳皇后(めいとくこうごう)。武将として光武帝の漢朝再興に貢献した馬援の娘である。by Wikipedia
■零落:落ちぶれすたれる。
■汲冢書:中国,西晋時代,汲郡(河南省)の人,不準が戦国時代の魏王の墓を盗掘して得た古書。竹簡に記されていたものを,荀勖(じゆんきよく)(?‐289)らの学者が当時の字体に改め,整理を加えた。元来は大量の竹簡があったとされるが,現在に伝わるのは《穆天子伝》《(古本)竹書紀年》(これもいったんは滅びて復元された)などごくわずか。《逸周書》は《汲冢周書》とも呼ばれるが,汲冢から出たものではないとされる。なおこれが出土した年については,《晋書》の本紀と伝や杜預《春秋経伝集解》後序などで,279年(咸寧5)から281年(太康2)まで差があり,また出土した墓についても魏の襄王のものとする説と安釐王のものとする説がある。by世界大百科事典 第2版
■内史:周代、王の命令・法典を司る官。秦代、都を治める官。漢代、諸侯の国で内政を司る官。
■偽國:稱僭越、竊據者所建的國家。《新五代史.卷六五.十國世家.南漢世家》:「恥事偽國,常怏怏思歸。」by教育百科
hy注)『春秋』引用文については「春秋左氏傳校本」参照。

晋代起居注一覧

起居注名 西暦年 巻数 巻数(梁) 撰者
泰始 265-274 20 20 李軌
咸寧 275-280 10 10 李軌
泰康(太康) 280-289 21 21 李軌
元康 291-299 1 1
永平、元康、永寧 291,291-299,301-302 6 6
惠帝 259-307 2 2
永嘉、建興 307-313,313-316 13 13
建武、大興(太興)、永昌 304,318-321,322-323 9 20
咸和 326-334 16 16 李軌
咸康 335-342 22 22
建元 343-344 4 4
永和 345-356 17 24
升平 357-361 10 10
隆和、興寧 362-363,363-365 5 5
泰和 366-371 6 10
咸安 371-372 3 3
寧康 373-375 6 6
泰元(太元) 376-396 25 54
隆安 397-401 10 10
元興 402-404 9 9
義熙 405-418 17 34
元熙 419-420 2 2
合計 234 302
晉 起居注三百一十七卷宋北徐州主簿劉道會撰。梁有三百二十二卷。
※上掲中、『日本国見在書目録』に収載されているのは『穆天子伝六巻 汲冢書郭璞注』と『晋起居注 丗巻』のみ。