『三国志』中の「臺」の用例

分類 成立の時代
三国以前
《魏志》
建築物(うてな) 宮殿の一部 名称 関係者・内容 名称 関係者・内容
明臺 五帝の一、黄帝 陵雲臺 文帝
漸臺 春秋楚の昭王 九華臺 文帝
※6 春秋の斉 永始臺 文帝
百金之臺 露台の異称。漢の文帝 [業β]臺※1 [業β](河南省臨[シ章]県)の離宮
小臺之娯 この「臺」は露台をさす。 臺[木射] 高殿一般
柏染※2 柏染臺・漢の武帝 臺観 高殿一般
玉臺 夏の桀王・殷の紂王 宮臺 宮室と高殿
物見台 南巡臺 文帝。宛(河南省南陽県)に築く
東巡臺 文帝
私的建造物 銅雀(爵)臺 曹操、丞相のとき
金虎臺 曹操、魏公のとき
東征臺 胡質※3
二義的呼称 朝廷 天臺
役所 鹿臺 殷の紂王の府(又は府庫) 臺閣 尚書省。後漢に始まる
行臺 尚書省の出先機関
臺獄 御史臺の獄か、不明。
官名 三臺 漢の三臺(中臺、憲臺、外臺) 蘭臺令史 奏事などを掌る役人。史官。後漢に始まる
路辺の地 鸞臺 曹植※4の言葉。路辺の地の美称
京觀(敵の死体をつみ重ねる)の意
人名 張子臺 子臺は張閣の字
王偉臺 偉臺は王観の字
《蜀志》
二義的呼称 官名 平臺事 平尚書事
その他 地名 臺登 県名。越[崔/凹]郡の十五県の一
《呉志》
建築物(うてな) 宮殿の一部 臺観 漢代からの宮殿一般 高臺 高殿一般
玉臺 殷の紂王 釣臺 釣りをする場所
臺中 釣臺の中
二義的 官名 中臺 尚書(行政を行なう官)
その他 人名 文臺 孫堅の字
幼臺 孫静の字
※5
三木太郎「『三国志』の中の「臺」の用例と字義」『季刊邪馬台国』18号(1983年冬号)79-82頁より一部改変して作成

※1 三木論文では「業βの臺」となっているので、「の」を削除。
※2 「柏染」とのみ掲示されていて、真意不明。なお「柏染」は「柏梁」の誤植。
※3 胡質(こしつ、? − 250年)は三国時代の魏の武将。字は文徳。胡敏の子、胡威・胡羆の父、胡奕の祖父(Wikipediaより)
※4 曹植(そうしょくまたはそうち(中国語でCao Zhiと発音するため)。192年 - 232年、初平三年 - 太和六年)は中国後漢末 -三国魏の漢詩人で、唐以前最高の評価を受ける。字は子建。魏の陳王に封ぜられ、思と諡されたことから陳思王とも呼ばれる。沛国[言焦]県(現在の安徽省亳州市)の人。嫡子は曹志で庶長子は曹苗(同上)
※5 三木論文ではこの部分に「聖臺」を挙げているが、原文は「壹」で、古田氏との共通認識ではないので削除した。
※6 「しんにょう」+「端」旁。