伊闕・龍門関連資料

Ａ　『春秋左傳正義』「昭公/卷五十二/傳二十六年」校勘記
【使汝寬守關塞釋文云女本亦作汝纂圖本［門＋虫］本監本毛本亦作守關石經宋本淳熙本岳本足利本作守闕是也陳樹華云水經注云昔大禹疏伊門以通水兩山相對望之若闕伊水歴其間北流故謂之伊闕矣春秋之闕塞也】

〈訓読文〉
「使汝寬守關塞」、釋文ニ云フ。「女」本ハ亦タ「汝」ニ作ル。纂圖本、［門＋虫］本、監本、毛本ハ亦タ「守關」ニ作ル。石經宋本、淳熙本、岳本、足利本ノ「守闕」ニ作ルハ是レ也。陳樹華ハ云フ。「水經注」ニ、昔大禹伊門ヲ疏(トホ)シ、以テ水ヲ通ズ。兩山相ヒ對シ之ヲ望ムニ、闕ノ若シ。伊水ハ其ノ間ヲ歴(へ)、北ニ流ル。故ニ之ヲ伊闕ト謂フ矣。春秋之闕塞也ト云フト。

Ｂ　『史記』「秦本紀」第五
【(秦昭襄王)十四年，左更白起攻韓魏於伊闕，斬首二十四萬，虜公孫喜，拔五城．】
注水經云『昔大禹疏龍門以通水，兩山相對，望之若闕，伊水歴其閒，故謂之伊闕．按今洛南猶謂之龍門也』

〈訓読文〉
(秦・昭襄王ノ)十四年、左更(官名)ノ白起ハ韓魏ヲ伊闕ニ於ヒテ攻メ、二十四萬ヲ斬首シ、公孫喜ヲ虜ニシ、五城ヲ拔ク。
「注水經」ニ云フ。「昔、大禹ハ龍門ヲ疏(トホ)シ、以テ水ヲ通ズ。兩山ハ相ヒ對シ、之ヲ望ムニ闕ノ若シ。伊水ハ其ノ閒ヲ歴(ヘ)、故ニ之ヲ伊闕ト謂フ。按ズルニ今洛南ハ猶ホ之ヲ龍門ト謂フガゴトキ也」。

(hy注)秦・昭襄王：BC306-251。十四年=B.C.293。

Ｃ　『漢書』「溝洫志」
昔大禹治水，山陵當路者毀之，故鑿龍門，辟伊闕，析底柱，破碣石，墮斷天地之性

〈訓読文〉
昔、大禹ノ治水ハ、山陵ノ當路(道を遮る)スルハ之ヲ毀チ、故(コトサラ)ニ龍門ヲ鑿チ、伊闕ヲ辟(ヒラ)キ、底柱ヲ析(サ)キ、破碣石ヲ破リ、天地之性ヲ墮斷(破壊)ス。

〈現代訳〉
昔、大禹が治水をするとき、山陵の路は壊し、故意に竜門を穿ち、伊闕を拓き、砥柱を折り、碣石を破り、天地の性を破壊してなお実行した。

Ｄ　『太平御覧』巻四十二「闕塞山」
【洛陽記曰闕塞山在河南縣左傳晉趙鞅納王使汝寛守闕塞伏虔謂南山伊闕是也杜預云洛＿西南伊闕口也俗名龍門】

〈訓読文〉
「洛陽記」ニ曰ク、闕塞山ハ河南縣ニ在リ。「左傳」、晉ノ趙鞅納王ハ汝寛ヲシテ闕塞ヲ守ラ使(シ)ム。伏虔謂ク、南山ノ伊闕ハ是レ也ト。杜預ハ云フ、洛ノ西南伊闕口也。俗ニ龍門ト名ヅク。

〈hy注〉
汝寛：晉大夫
『洛陽記』陸機：２６１－３０３。西晋の文学者。祖父の陸遜は呉の丞相、父親の陸抗は呉の大司馬。呉が滅んだ後十年間家に籠っていたが、太康年間(280-289)の末に、弟の陸雲とともに洛陽に上り、文才をもってらに重んじられ、「二陸」と合称された。かつて平原国の内史〔相に同じ。郡太守と同格〕に就任したことがあるので、陸平原と呼ばれる。『中国歴史文化事典』より一部節略。

Ｅ　世界文化遺産
龍門石窟坐落於素稱“十三朝古都”的洛陽城南13公里處的伊河兩岸，南北長達1公里。這裡兩山巍然對峙，伊水中流，形如門闕，故古稱伊闕。由於地處都城之南，古代帝王擬已為“真龍天子”，故又稱龍門。龍門之稱始於隋，中經唐、宋、元、明、清，直至今天仍然沿用。龍門自古為險要關隘，交通要道，向為兵家必爭之地。因山清水秀，環境清幽，氣候宜人，素為文人墨客觀遊勝地。又因石質優良，宜於雕刻，故而古人擇此建石窟。