成文出版社有限公司印行 據北宋景祐監本配南宋重刊北宋監本巻頭

景印仁壽本二十六史緣起

仁壽本二十六史『史記集解』には標記縁起が掲げてあり、出版の経緯が述べてあるので、いつもながら読み下しを試み拙い訳文を公開することとした。

釋読に取り掛かってから成文出版社のサイトに仁壽本二十六史の縁起が紹介されているのを見たが、かなり分量が少ない。文字にも若干の異同があるが、その理由は知らない。


〈原文〉
  民國四十六年,胡偉克先生會同國内知名學者,設二十五史編刋舘,精選史籍善本影印,仁壽本二十五史成,呈獻 總統蔣公祝嘏。厥後國內外學術團體、私人學者,因其版本精良,多擬收購存藏,終因景印之初,並無銷售之意,遂不能以有限之數量,滿足多方渴求之願望。敝社承胡先生之同意,並蒙國防研究院張主任曉峯之兪允,將其所刋正之清史一併編入,都二十六史,成中華民族正史之全,仍尊稱曰「仁壽本」,爲仁者 總統蔣公壽,並希於復興文化運動中,稍盡推廣之棉力。
  我中華民族極俱歷史意識。遠溯上古史官位尊地要,隨後專掌著述,皆所以使當代國史維繫於不斷。司馬遷作史記後,歷代史學著作,或出自官方,或由於自撰,咸以提供一綿互不斷之史實,俾明人文活動之全貌,從而鑑後知來,作爲後代政經興廢之殷鑑,此正史之所由來也。然我國歷史悠久,史書衆多,雕版始創於五代,故宋以前史書皆爲鈔本,多存其名而少流傳;宋太宗淳化五年,選官分核史記、前後漢書,並開雕於杭州,此北宋監刻史籍之始,亦卽正史有刻本濫觴。下逮政和年間,垂百二十年,十七史之刻始成。及靖康之難,文籍多爲金人擄去,宋朝南渡後又得重雕,監中之闕書次第鏤板,此卽所謂紹興間重刋北宋監本也,元承宋緒,刻書之風亦甚,以大德間九路所刻史籍最爲知名。厥後,明有二十一史之刻,清有殿版二十四史之刻,此正史彙刻之大略也,然識者閱書,每取宋元,非僅嘉其刋刻之精,繕鈔之雅,更因其校勘精麤,保存舊文,可以據之正後世刻本之以意竄改,脫漏舛誤。
  玆爲求美觀實用起見,特選用七十磅印書紙,將原書景印成十六開本,字體大小適中,清楚悅目。偶有原書殘缺不明處,悉加描勾謄正,並編傳記索引贈送讀者,提供査檢之便,茲將所據以影印之版本列述於后:

史記集解 壹百叁拾卷 北宋景祐監本配南宋重刊北宋監本
漢書 壹百貳拾卷 南宋福唐郡庠重刊北宋淳化監本
後漢書 壹百貳拾卷 南宋福唐郡庠重刊北宋淳化監本
三國志 陸拾伍卷 南宋紹熙刊本
晉書斠注 壹百叁拾卷 吳興劉氏嘉業堂刊本
宋書 壹百卷 南宋紹興間江南重刊北宋監本
南齊書 伍拾玖卷 南宋紹興間江南重刊北宋監本
梁書 伍拾陸卷 南宋紹興間江南重刊北宋監本
陳書 叁拾陸卷 南宋紹興間江南重刊北宋監本
魏書 壹百拾肆卷 南宋紹興間江南重刊北宋監本
北齊書 伍拾卷 南宋紹興間江南重刊北宋監本
周書 伍拾卷 南宋紹興間江南重刊北宋監本
隋書 捌拾伍卷 元饒州路學刊本
南史 捌拾卷 元大德刊本
北史 壹百卷 元信州路學刊本
舊唐書 貳百卷 南宋紹興刊本配明聞人詮重刊本
新唐書 貳百伍拾卷 北宋刊小字本
舊五代史 壹百伍拾卷 目錄二卷 吳興劉氏嘉業堂四庫全書原輯本
五代史記 柒拾伍卷 南宋刊小字本(或南宋慶元刊本)
宋史 肆百玖拾陸卷 元杭州路刊本
遼史 壹百拾陸卷 元杭州路刊本
金史 壹百叁拾伍卷 元杭州路刊本
元史 貳百拾卷 明洪武刊本
新元史 貳百伍拾柒卷 東海徐氏退耕堂刊本
明史 叁百叁拾貳卷 目錄肆卷 清乾隆武英殿刊本 清史 伍百伍拾卷 國防研究院清史編纂委員會修訂本

hy注)壹 貳 叁 肆 伍 陸 柒 捌 玖 拾 は漢数字(大字)で、1~10を表す。

〈拙読〉
  民國四十六年*,胡偉克*先生は國内の知名學者と會同して,二十五史編刋舘を設け,精選せし史籍の善本を影印して,仁壽本二十五史は成り,總統蔣(介石)公の祝嘏*を呈獻*す。
  厥後*、國內外の學術團體、私人學者は,其の版本の精良に因りて,多く收購*存藏*を擬(はか)り,終(つひ)に景印*の初に因りて,並びに銷售*の意無く,遂(つひ)に有限の數量を以て,多方の渴求の願望を滿足せしむるに能はず。
  敝社は胡(偉克)先生の同意を承(う)け,並びに國防研究院*張主任曉峯*の兪允*を蒙(かうむ)り,將(まさ)に其の刋正*せし所の『清史』を一併*編入し,二十六史を都(集)めて,中華民族正史の全てと成し,仍(よ)って尊稱して「仁壽本」と曰(い)ひ,仁者*總統蔣(介石)公は壽*を爲し,並びに復興文化運動中に於ひて,稍(ようや)く推廣*の棉力*を盡(尽)くさんことを希(願)ふ。
  我が中華民族は歷史意識を俱(とも)にするを極む。
  遠く上古に溯れば史官の位は地要*を尊び,後に隨(したが)ひては著述を專掌*するは,皆、當代國史の維繫*を不斷なら使むる所以(ゆえん)なり。
司馬遷の『史記』を作りて後,歷代史學の著作は,或ひは官方*より出,或ひは自撰に由り,咸(みな)一綿互*なる不斷の史實を提供するを以て,人文活動の全貌を明らかにせしめ,從而*鑑後知來,後代の政經興廢の殷鑑*と作(な)すは,此れ正史の由來する所也。
  然りて我が國の歷史は悠久にして,史書は衆多*,雕版*は五代*に始創し,故に宋以前の史書は皆鈔本*と爲し,其の名の存するは多く而して流傳*は少なし;宋の太宗の淳化五年*,官を選び分ちて『史記』、『前後漢書』を核(調)べ,並びに杭州に開雕*するは,此れ北宋の史籍を監刻*するの始めにして,亦卽(すなは)ち正史の刻本を有(持)つ濫觴*たり。
  下りて政和年間*に逮(至)ること,百二十年に垂(なんな)んとして,十七史の刻は始めて成る。
  靖康之難*に及びて,文籍*の多くは金人の擄去*するところと爲し,宋朝の南渡後、又重雕*するを得,監中*の闕書*は次第に鏤板*し,此れ卽ち所謂(いわゆる)「紹興*間重刋北宋監本」也,元は宋の緒*を承(う)け,刻書*の風は亦甚(はなはだ)しく,「大德*間九路所刻」の史籍を以て最も知名*と爲す。
  厥後,明に二十一史の刻有り,清に殿版二十四史の刻有りて,此れ正史彙刻*の略(あらまし)也,然して識者は書を閱(けみ)し,每(ことごと)く宋元を取り,其の刋刻の精,繕鈔*の雅を嘉(よみ)すること僅かならず,更に其の校勘の精麤*,舊文の保存に因りて,之に據るを以て後世刻本の意を以て竄改*し,脫漏*舛誤*するを正す可し。
  玆(ここ)に美觀と實用を求めて起見*するに,特選して七十磅(ポンド)印書紙を用ひ,將(まさ)に原書を景印して十六開*本と成し,字體の大小は適中*し,清楚なること悅目*を爲す。
  偶(たまたま)原書に殘缺や不明處有らば,悉(ことごと)く勾*を加描して謄正*し,並びに傳記索引を編み讀者に贈送し,查檢*の便を提供して,茲(ここ)に將(まさ)に影印の版本を以て據る所を后に列述す:
〈字釈〉
民國四十六年:1957
胡偉克:1910年-1973年),中華民國空軍退役中將,中央軍校第六期第一總隊炮科畢業。別字調雲,江西萍鄉人。筧橋中央航空學校第一期、國防大學第二期、英國皇家空軍研究院畢業。中央軍校第六期畢業後,轉學飛行。抗日戰爭爆發前後,任空軍第一大隊飛行員、中隊長,昆明空軍學校學生隊長、航政處少校副處長,空軍軍官學校中校教育長,駐德國大使館空軍武官,空軍總指揮部交通處中校副處長。1946年任筧橋航空學校上校校長。1949年到台灣,任空軍總司令部第一軍區司令,授空軍少將。後轉任空軍總司令部政治部少將主任,國防部總政治作戰部副主任,政工干部學校校長,兵工建設委員會委員,國防部戰略計劃委員會研究員、計劃局中將副局長。1968年冬以空軍中將退役,任總統府國策顧問。1973年9月13日在台北逝世。出版有《胡偉克空軍中將紀念集》等。by Wikiwand。
祝嘏:1.祭祀時致祝禱之辭和傳達神言的執事人。2.祭祀時祝禱和所傳達的言辭。3.祝福;祭祀。4.祝賀壽辰。多用於皇室貴族等。by 漢典。
①宗廟を祭るときに神に捧げることば。また、そのことばをあげる人。②祝賀する。ことほぐ。
呈獻:恭敬的奉上。by國語辭典。
厥後:その後。
收購:買い集める。買い上げる。買い付ける。by日語詞典。
存藏:所蔵の意か。
景印:影印。
銷售:しょうしょう。販売する。by Wiktionary日本語版。
國防研究院:是中國國民革命軍於1942年1月在重慶浮圖關山上開設的將官級國防研討培訓機構。by 維基百科。
張主任曉峯:主任・張曉峰。張其昀,字曉峰,中國史學家、地學家、教育家。by 維基百科。
兪允:ゆいん。しかり。by 普及版 字通。
刋正:校正程の意か。
一併:(4字句を作り)一緒に合わせて,一括して by 白水社 中国語辞典。
仁者:仁徳が身についている人。情け深い人。仁人。
壽:お祝いを贈るの意か。
推廣:押し広める。拡張する。普及させる。by 日語詞典。
棉力:猶微力。常用作自謙之詞。by 漢語網。
地要:未詳。
專掌:専らある仕事を担当すること。by 精選版 日本国語大辞典。
維繫:(人心・家庭・関係・組織などをばらばらにしないように)持ちこたえる,つなぎ留める。
官方:政府筋。役所側。by 中日辞典第3版。
一綿互:一連続ほどの意か。
從而:従って。
鑑後知來:未詳。
殷鑑:戒めとすべき前例。悪い手本。みせしめ。by 精選版 日本国語大辞典。
衆多:多い。多数。また、大勢の人。
雕版:中国で活字本とか,抄本つまり写本とかでなく,板に彫った〈版木(はんぎ)〉を用いて印刷した書物のことを刊本,版本,刻本,雕本などと呼び,またそのように彫る行為を版刻,雕版などという。そして版刻の職人を刻工と呼んだ。by 世界大百科事典。
五代:唐末に起こった五つの王朝。後梁・後唐・後晋・後漢・後周。
鈔本:筆写した書物。写本。
流傳:世間に広く伝わる。
淳化五年:994年。
開雕:版木を彫る。
監刻:猶監本。by 漢典。
濫觴:ものごとのはじまり。
政和年間:北宋徽宗1111-1118。
靖康之難:1126年、宋(北宋)が、女真族(後世の満州族の前身)を支配層に戴く金に敗れて華北を失った事件。靖康は当時の宋の年号である。この事件で宋室の皇女たち(4歳から28歳)全員[注釈 1]が連行され、金の皇帝・皇族・将兵らの妻妾にされるか、官設妓楼「洗衣院」に入れられて娼婦となった。by Wikipedia。
文籍:文書・書籍。
擄去:奪い去られる意か。
重雕:重ねて彫るの意か。
監中:国子監の中の意か。
闕書:失われた書籍の意か。
鏤板:版木に文字などを刻む。
紹興:南宋高宗1131-1162。
緒:ここでは事業というほどの意か。
刻書:刻版印書。by 漢語網。
大德:元成宗1297-1307。
知名:世間に名を知られていること。有名。著名。
彙刻:いこく。集めて刊行する。by 普及版 字通。
繕鈔:両字ともに書き写すの意。
精麤:せいそ。細かいこととあらいこと。詳しいことと大まかなこと。by 精選版 日本国語大辞典。
竄改:書き換える。
脫漏:もれ落ちる。もれる。遺漏。
舛誤:まちがい。あやまり。
起見:1.猶着想。表示爲達到某種目的或出於某種原因。2.產生芥蒂,意見。芥蒂はこだわり程の意か。
十六開:中国の本のサイズで285×210mm。
適中:(矢などが左右に片寄らず目標の真ん中に当たる→)(考え・立場が)どちらにも片寄らず中立公正だ。
悅目:目を喜ばせる。見て楽しむ。
勾:区切り。
謄正:清書。
査檢:検査の意か。
中華民國六十年:1961年。