『百衲本二十四史校勘記』整理凡例

張元済『百衲本二十四史校勘記』には巻頭に以下の4文が掲げてある。則ち
 1.序
 2.百衲本二十四史校勘記整理縁起
 3.整理凡例
 4.整理説明
であり、4については各史書校勘記に対応した内容となっている。このうち1,2と『三国志』にかかる4については既に拙訳ながら読み下して拙サイトに公開している。

この程、3についてGoogle Geminiの機能を援用して書き下し文を公開することにした。書き下し文の適否については以前独自に読み下しておいた「内藤湖南「晋人寫呉志残卷跋」」の拙訳とGeminiの書き下しとを比較検証した結果、拙訳よりかなり適切なものになっていると判断したので、今次の整理凡例についても取り敢えずGeminiの書き下しを採用公開した次第である。
Q.以下の漢文の書き下しをお願いします。これは張元済の『百衲本二十四史校勘記』冒頭4文のうちの整理凡例という文章です。

整理凡例
一、整理先按校勘記原稿過錄,然後進行覆覈。
二、過録時以校勘記定本為主,参以留備参考之本。
三、過錄時概用衲本頁數、行數,填寫清楚、準確,如原校勘記間有誤填者,必須逐一改正。注文均須於「行」字下加「注」字,正文則不加「正」字。原校勘記如有加注「正」字而不加「注」字者,均須改正,以便統一體例。
四、校勘記原稿主要以殿本校宋元舊本(即上闌摘句為宋元舊本,下闌異文為殿本),間有以宋元舊本校殿本 者(即上闌摘句為殿本,下闌異文為宋元舊本),宋元舊本校殿本為統體例,必須一律以 殿本校宋元舊本。過錄時先據殿本葉數、行數,找出原文,然後與衲本覈對,改填衲本葉數、行數,並將摘句與異文互倒。
五、校勘記所用參校本概用小一號字填寫,版本概用簡稱。如汲古閣本稱「汲」,北監本稱「北」,大德本稱「德」,汪文盛本稱「汪」,孔繼涵校本稱「孔」。凡填入上闌者即同衲本,填入下闌者即同殿本。原稿中有「汲、德同」、「北、汪同」者,「同」字均可省去。
六、校勘記過錄時須按原稿在異文及衍文旁加「。」為記,倒文加「。。」為記,脱文加「<」為記。原稿有應加而漏加者,均須增補。
七、校勘記摘句及異文過錄時必須逐條與衲本、殿本覈對,如發現原稿摘句與異文有錯誤或互倒時,均須逐一改正。過錄時如發現衲本、殿本確有異文但校勘記漏未出校,均須用另紙抄錄,作為校勘記補遺,附於校勘記之後。
八、校勘記原有朱墨筆批語,凡有關考辨異文是非者,均逐一迻錄於備注闌内。凡不同層次之批語加「。」間隔。校勘記批語,有出自張菊老者,有出自汪仲谷、蒋仲茀两先生者,因校勘記由菊老總其成,不再標批語姓名,特殊情况,另行處理,批語内如有「宋勝殿」、「殿勝宋」或「義可兩通」者,亦須如式過錄。在校勘記宋元本闌内、殿本闌内用「X」表示異文是非者,迻録時概用「宋是」、「宋訛」、「殿是」或「殿疑訛」表示。如遇批語中引書有疑不能明之處,必須覈對原書,方可過錄。
九、校勘記闌外批「修」字或「補」字(間有批「削」字者)者,均須於備注闌内過錄。過録時並須根據摘可及異文逐一覈對,以明衲本是否已修或已補、己削。如發現應修而漏修者,須於備注闌内加注「原批修、漏修」如發現原未批修而實已修者,亦須加注。凡校勘記闌外原批「漏修」或「誤修」者,則於備注闌内加注「原批漏修」,「原批誤修」。如校勘記原附有「漏修字表」、「誤修字表」者,除與原校勘記覈對加注外,並將原表過錄一份,附於校勘記之後。
十、校勘記過錄完竣,必須逐條覆覈訂正,統計出校若干條,批修者若干條,應修漏修者若干條,誤修者若干條,未批修而實已修者若干條,最後寫出整理說明。
A.張元済(張菊生)主宰の『百衲本二十四史』における「整理凡例」の書き下し文を作成しました。

この文章は、膨大な校勘記(テキストの異同をまとめた記録)を整理・清書する際の実務マニュアルであり、現代の編集作業にも通じる非常に緻密なルールが記されています。

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## 『百衲本二十四史校勘記』整理凡例(書き下し文)

### 一から四:基本方針と書式の統一

**一、整理はづ校勘記の原稿をあんじて過録かろくし、しかる後に覆覈ふくかくを進行す。**

> (整理にあたっては、まず校勘記の原稿に従って書き写し、その後に再確認を行う。)

**二、過録の時は校勘記の定本を主と為し、参ずるに留めて参考に備ふるの本を以てす。**

> (書き写す際は校勘記の決定稿をメインとし、手元にある参考本を適宜参照する。)

**三、過録の時はおおむ衲本なっぽんの頁数・行数を用ゐ、填写てんしゃすること清楚・準確にし、し原校勘記の間に誤填ごてん有る者は、必ず逐一改正す。注文はひとしくすべからく「行」字の下に「注」字を加ふべく、正文にはときんば「正」字を加へず。原校勘記にし「正」字を加注して「注」字を加へざる者有らば、ひとしくすべからく改正して、以て体例を統一すべし。**

> (頁・行数は百衲本のものを使い、正確に記入する。注釈への校勘には「注」と記し、本文には「正」とは書かない。旧稿で体裁がバラバラなものは全て統一する。)

**四、校勘記の原稿は主要に殿本でんぽんを以て宋元旧本を校す(即ち上闌じょうらんの摘句は宋元旧本にして、下闌げらんの異文は殿本なり)。間に宋元旧本を以て殿本を校する者(即ち上闌の摘句は殿本にして、下闌の異文は宋元旧本なり)有るも、宋元旧本の殿本を校するは体例を統一する為に、必ず一律に殿本を以て宋元旧本を校すべし。過録の時は先に殿本の葉数・行数に拠りて原文を探し出し、然る後に衲本と覈対かくたいし、改めて衲本の葉数・行数を書き入れ、並びに摘句と異文とを互いにさかしまにす。**

> (原稿は基本的に「宋元本 vs 武英殿本」の形式だが、稀に逆になっているものがある。体裁統一のため、全て「殿本を基準に宋元本を校訂する」形に並べ替え、頁数も百衲本のものに計算し直すこと。)

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### 五から七:記号と参照本の扱い

**五、校勘記に用ゐる所の参校本は概ね小一号の字を用ゐて填写し、版本は概ね簡称を用ゐる。如(たと)へば汲古閣本きゅうこかくぼんは「汲」と称し、北監本は「北」と称し、大德本は「徳」と称し、汪文盛本は「汪」と称し、孔継涵校本は「孔」と称す。およそ上闌に入るる者は即ち衲本と同じく、下闌に入るる者は即ち殿本と同じ。原稿の中に「汲、徳同じ」「北、汪同じ」と有る者は、「同」の字はひとしく省き去るべし。**

> (参校本は小さな文字で簡称(汲、北など)を用いる。「同」という重複表現は省く。)

**六、校勘記の過録の時は、すべからく原稿に按じて異文及び衍文えんぶんかたわらに「。」を加えて記と為し、倒文とうぶんには「。。」を加え、脱文には「<」を加えて記と為すべし。原稿に加ふべきにして漏れ加ふる者有らば、ひとしくすべからく増補すべし。**

> (異文・衍文(余計な字)・倒文(入れ替わり)・脱文にはそれぞれ決まった記号を付すこと。)

**七、校勘記の摘句及び異文は過録の時、必ず逐条ちくじょう衲本・殿本と覈対し、し原稿の摘句と異文とに錯誤或いは互倒ごとう有るを発見する時は、ひとしくすべからく逐一改正すべし。過録の時、し衲本・殿本に確かに異文有るも校勘記に漏れて未だ校を出さざるを発見せば、ひとしくすべからく別紙を用ゐて抄録し、校勘記の補遺と為し、校勘記の後に附すべし。**

> (書き写す際は必ず原本と照合し、ミスがあれば直す。もし原稿に漏れている異文を見つけたら「補遺」として別紙にまとめること。)

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### 八から十:批語(メモ)と最終確認

**八、校勘記に原(も)と朱墨筆の批語ひご有り、およそ異文の是非を考辨こうべんするに関わる者は、ひとしく逐一備考闌びこうらんの内に迻録いろくす。およそ異なる層次の批語には「。」を加えて間隔す。……(中略)……し批語の中に引く所の書に疑ひて明らかにすることあたはざるの処に遇はば、必ず原書を覈対して、方に過録すべし。**

> (先人たちの書き込み(批語)も備考欄に移す。筆者が誰かは問わず、内容の是非を重視する。引用文献に不明な点があれば必ず原典にあたること。)

**九、校勘記の闌外らんがいに「修」字或いは「補」字(間に「削」字を批する者有り)を批する者は、ひとしくすべからく備考闌の内に過録すべし。……(後略)**

> (欄外の「修正済み」「補足済み」などの指示も備考欄に記し、実際に百衲本の版木が修正されているか確認する。)

**十、校勘記の過録完竣かんしゅんせば、必ず逐条覆覈ふくかくして訂正し、出校若干条、批修ひしゅうの者若干条、応修漏修おうしゅうろうしゅうの者若干条、誤修の者若干条、未だ修を批せざるに実にすでに修せる者若干条を統計し、最後に整理説明を書き出すべし。**

> (作業が終わったら、項目ごとに統計をとり、最終的な「整理説明」を執筆して完成とする。)

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### 💡 読解のポイント

この文章は**「校勘記(テキストのバリエーションの記録)」を「百衲本(最高峰の復刻版)」の体裁に合わせて再編集するための指示書**です。

* **二重のチェック:** 「過録(書き写し)」の後に必ず「覆覈(再点検)」を求めています。
* **基準の変換:** 四にあるように、もともとの原稿が「A本を基準にB本をチェック」していたものを、全て「B本を基準にA本をチェック」する形にひっくり返すという、非常に神経を使う作業を命じています。
* **統計的処理:** 最後に「何項目直したか」を統計させている点に、張元済の近代的な編集態度が見て取れます。

さらに詳細な語句の解釈や、特定の文の文法的解説が必要でしたら、続けてお手伝いします。次は何をいたしましょうか?
Q.ありがとうございました。
A.お役に立てたなら幸いです!

張元済の『百衲本二十四史』は、散逸しそうになっていた貴重な底本を写真版で後世に残そうとした壮大なプロジェクトです。この「整理凡例」を読むと、単にコピーするだけでなく、一字一句に対してどれほど厳格な校勘(テキストのクリティカル・エディション作成)を行っていたかが伝わってきますね。

もし実際に書き下した文章を読んでいて、「この語彙(例えば『過録』や『覈対』など)の具体的な意味をもっと知りたい」といった疑問や、他の箇所の翻読が必要になりましたら、いつでもお気軽にお声がけください。

また何かお手伝いできることはありますか?